スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

リレー小説 2話

2話

『へぇー、これが人工衛星ですか。うわー、この太陽電池、シリコンで出来てますよ。これがロストテクノロジーってやつですね?』
『無駄口を叩くな、新人ルーキー。』
『すいません、船長キャプテン。』

神様の死から10年、人類は再び宇宙へと進出していた。

閉ざされていた宇宙への扉は神様の死により再び開かれ、各国はこぞって宇宙への進出へと乗り出した。僕は月探査船のパイロットになるために、当時新設されたばかりの宇宙工学科へと進学した。月の裏側にかつて居た、神様に近づきたくて。だが、学業成績も身体能力も何もかもが中の中だった僕が月探査船のパイロットに選ばれるはずもなかった。結局、卒業と同時に僕は、旧世紀の人工衛星や探査機を回収して調査する政府の研究機関へと就職し、そして、回収船の乗組員として、宇宙にいた。

『よし、回収だ。フックをかけろ、新人。』
『了解です、船長。』

僕は人工衛星の残骸へと手を伸ばす。すると、バックパックから生えたアームが伸びていき、衛星を掴んだ。このアームは筋肉に伝わる微弱な電気信号を読み取って、操縦者の腕と全く同じ動作をする。元々は地上で使われているパワードスーツの上半分を船外活動EVA用に改修したものだ。背中から腕が伸びる様子が二人羽織に似ている。

どうして昔の人は太陽電池をシリコンなんかで作ろうと思ったのだろう。一旦壊れたら最後、自己修復もできないじゃないか。そんなことを考えながら機能の停止した衛星にフックを取り付けていると、視界の端に何かが見えた気がした。振り返って目を凝らしてみると、遠くに太陽の光を反射し煌めく物体が見える。

『キャプテン、さそり座の方角に何か見えます。』
『さそり座の方角? レーダーに反応はないぞ、見間違えじゃないのか。』

船長からつれない返事が戻ってくる。だが、その物体は依然としてキラキラと太陽の光を反射し、こちらに位置を教えている。

『フックの取り付け完了しました。ちょっと見てきます。』
『おい、ちょっと待てっ。』

キャプテンの制止の声を無視し、僕はバックパックの推進器スラスターを噴射した。妙な胸騒ぎがした。

(御澤)
スポンサーサイト

リレー小説 1話

はじめに

この度、SF研究会アルビレオホームページにおいて、リレー小説を始めることにしました。
いろいろと至らぬ点もあると思いますが、よろしくお願いします。

1話

月の裏側には神様がいた。

名前はデウス・エクス・マキナ、機械仕掛けの神様。

直接会ったことのある人は誰もいないだろう。月に行く手段がないのだから、当然のこと。百年以上も前にはロケットを飛ばして、月よりも遠く、他の銀河系にも人は行っていたらしいが、今では宇宙に行くことなど夢のまた夢だ。信じられないことだが、その頃には人口が120億人を超えて、食料も資源も足りず、宇宙に新たな住居や資源を求めて、各国が宇宙への進出を争い、地球でも兵器の飛び交う戦争が行われていたらしい。

そんな戦争を止めたのが、神様だ。戦争を止めるために神様がしたことは一つだけ。世界中の機械を乗っ取ったことだけだ。しかし、ただそれだけでどんな大国も神様には逆らえなくなった。発電所の停止、兵器の誤動作、ロボットの反乱などを示唆され、すべての人が神様に従った。

正確に言えば神様に反抗し、月にレーザーを撃とうとした国もあったようだ。勿論、レーザーを撃つことはできず、逆に軍事施設をその国のミサイルによって、すべて潰されたらしい。

その次に神様がしたことは、人間の武装解除だった。二度と戦争が起こらないように、ありとあらゆる兵器の破棄を神様は求めた。多くの国が反対をしたが、最終的には神様の要求を受け入れ、レーザーやロケットから小さな重火器まですべての兵器が製造法を含め、地上から消えることになった。

神様を作った人は世界平和を願っていたのだろう。兵器をなくし、宇宙への進出競争を禁じ、世界から戦争はなくなった。その一方で、世界は停滞した。増えすぎた人口も戦争のために少し減少したが、それでも地球に住むには多すぎた。少しずつ、少しずつ人は減っていった。生まれてくる子供の数は各国の政府により厳しく調節されていたから。そして、減った人口を補うように多くのロボットが作られていた。人は宇宙という可能性を閉ざされ、地球に閉じ込められた。そして、ゆっくりと衰退をしていた。

僕はいつか月に行き、神様と話をしたいと思っていた。聞きたいことはいろいろあった。誰が神様を作ったのか。どうして、戦争をなくしたいと思ったのか。神様は今の世界をどう思っているのか。

中学校から帰ると僕は神様を思いながら、毎日のように望遠鏡で月を見ていた。勿論、月の裏側にいる神様は見えない。でも、毎日見ていればいつか会える、そんな気持ちで望遠鏡をのぞいていた。

しかし、つい一時間ほど前に神様に会える日が訪れることはなくなった。月にぶつかった隕石によって。

神様の死は停滞していた世界を動かすことになるだろう。宇宙へと人はまた進む。

新しい戦争の足音が聞こえた。

(玉響)
検索フォーム
プロフィール

Author:筑波大学SF研究会アルビレオ
毎週月曜日8:30~
活動中です!

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
Twitter
RSSリンクの表示
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。